付1 先天的と後天的 – intention


DNA

僕の友人は、とある大きな新聞の週末版を作っている。その週末版では、毎号1面、2面を「時の人」のために特集する。ある週、隈研吾という話題の建築家の紙面を作り、次の週に、イデーというインテリア会社の黒崎社長の特集を組んだ。隈研吾は表参道にファッションビルを作ったと言って、黒崎は古くなったビルを住宅に変えるプロジェクトを進行中ということで時の人となった。

友人曰く、両方とも時の人だけど、時代は黒崎だよと言う。黒崎が、このコンヴァージョンプロジェクトを打ち上げた時、手弁当で参加したいという学生が山のように集まったと友人はあたかも見てきたかのごとく僕に告げるのである。学生が集まるのは、新しい何かを創り出すより、古くなった何かをカスタマイズすることの方がおしゃれであるというファッションセンスに繋がるところがあるようだ。

しかし時代が黒崎であろうとも僕らは建築家で、産み落とす職業である。そんな職能を前提としていること自体を古臭いとは少し思うけれど、産み落とす人はなくならないというのも一方の真理であろう。しかし、この産み落とすというところが曲者で僕らは何を願ってこの子らを産み落とそうというのであろうか?

人はDNAと言う設計図を親からもらうと言われているけれど、この設計図がその後の自分をどこまで方向づけているのかは正確にはわからない。人は社会に順応してオトナになるというのだから、この設計図はどこかで順応という書き換え(或いは修正)を施さざるを得ない。一方建築とはどんなものだろうか?時代のニーズの変化の早い現代では、産み落とされた時点のリクエストと20年後では明らかに異なると思われる。順応という設計図の書き換えがやはりいるのだと思う。

そうした書き換えこそがオトナへの成長であり人間なら一回り大きくなったと言ってポジティヴに考えられるわけだ。建築もそうした書き換えが年輪を重ねるという如くその建物の厚みを増していくようなことになるのだろうか。そんな書き換えられることを前提とした設計図を僕らは書けるのだろうか?

I 計画の不可能性と可能性

1)後天的1(先天不可) passive uncontrollability —S.M.L.XLのニヒリズム
a, 巨大さから生じるuncontrolability —中野ブロードウェイの場合
b, 大きくなるとナカミが分からなくなるか近代編

2)後天的2(計画的後天) positive uncontrollability —メタボリズムの限界
a, 菊竹清訓のスカイハウス
b, 菊竹清訓のタワー
c, 黒川のカプセル

3)後天的3(フレキシビリティ)

II 建築という種子(後天的4)

1)オフィス2003年問題
2)変化を刻み込む建築
3)刻まれたものの正体

III コントロールできないことをコントロールしないという計画(後天的5)

《参考文献》

[A]…講義の理解を深めるために是非一読を(入手も容易)。
[B]…講義の内容を発展的に拡張して理解したい人向け。
[C]…やや専門的だが、面白い本。
[D]…やや専門的かつ入手困難だが、それだけに興味のある方は是非。

  1. ムスタファヴィ/レザボロー (M. Mostafavi / D. Leatherbarrow)、1999(1993)『時間の中の建築』(黒石いずみ訳)、鹿島出版会 [B]
    ● ウェザリング(風化)という概念で建築を切り取る、日本にはあまり見られない興味深い視点。
  2. Rem Koolhaas, 1991 “S, M, L, XL”, 010Publishers [C]
    ● モダニズム建築の量の表現力(非表現力)を扱った最初(で最後)の書。
  3. レム・コールハース(Rem Koolhaas)、1999(1994)『錯乱のニューヨーク』(鈴木圭介訳)、ちくま学芸文庫 [B]
    ● コールハースの理論家としての第一歩であり、建築以外にも大きな影響を与えた一冊であろう。
  4. 八束はじめ+吉松秀樹、1997 『メタボリズム』、INAX出版 [B]
    ● メタボリズムという日本だけに発生した建築運動の最近のまとめ本。
  5. Nikolaus Pevsner, 1976 “A History of Building Types”, The National Gallery of Art [B]
    ● ビルディングタイプを扱った古典的名著。
  6. 五十嵐太郎+大川信行、2002 『ビルディングタイプの解剖学』、王国社 [B]
    ● 上記名著に対抗して登場。
  7. 大倉三郎、1957『ゴッドフリード・ゼンパーの建築論的研究』、中央公論美術出版 [C]
    ● ちょっと高いので図書館で眺めてください。でもゼンパーの研究書は世の中に殆どありません。そもそもゼンパーの書は翻訳本がありません。リーグルの批判はあるものの、建築的には彼の唯物論は半分は正しい。
  8. 椹木野衣、2001『増補シミュレーショニズム』、ちくま学芸文庫 [A]
    ● カスタマイズもリミックスもサンプリングも現代的な肩の力を抜いたスタンスです。
  9. エドマンド・バーグ(Edmund Burke)、1757(1999) 『崇高と美の観念の起源』(中野好之訳)、みすず書房 [A]
    ● モダニズム建築において崇高概念はビッグネスと共に不可欠。

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