第8回(建築) 『公共性』
著:齋藤純一
岩波書店
公共性レジュメ議題
1,“「私的」という語が、「奪われている」(deprived)というそのもともとの意味合いにおいて重要になるのは、 公共的領域の多元的な意義についてある。完全に私的な生活を生きるということは、何よりもまず、真に人間的 な生を生きるうえで本質的な事柄が奪われていることを意味する。つまり、他者によって見られ、聞かれるとい う経験…からうまれるリアリティを奪われていることを意味する。私的な生から奪われているのは、他者の存在 である。他者の視点からすれば、私的な生を生きる人は現われず、それゆえあたかも存在しないかのようである。” この一節から分かるように、外国人にとって他人に見られることは極めて重要である。そのため、西洋では、他 人や遠いところが見られる広場のような公共空間が生まれた。槇文彦氏は、公共空間に対しては、人の交流を保 証すると同時に、人が一人でいるニーズを満たすことを強調した。 この二つの意見に対して、どう考えますか?設計をする時に応用したことがありますか?
2、“アーレントは、公共的空間を「人々が自らが誰(who)であるかをリアルでしかも交換不可能な仕方で示す ことのできる唯一の場所」として定義する。あるいは次のようにのべる。「人々は行為し語ることのうちで、自ら が誰であるかを示し、他に比類のないその人のアイデンティティを能動的に顕わにし、人間の世界に現われる」。” P41 この一節と、この一節を取り巻く内容は、公共空間の中の人はそれぞれの唯一のアイデンティティを持っている ということを指摘したと思います。でも実際に建築家は公共空間を設計する際に、想定される抽象的な他者に基 づいて設計を行っているのですが(そこでの個人のアイデンティティが曖昧になる)、このように設計された空間 を公共空間と呼ぶことができると思いますか? 賛成や否定にも関わらず、自分の理想的な公共空間に一番近い事 例はありますか?
3、「世界疎外(world alienation)(P48)」は空間/場所/建築にどのような影響がありますか?
4、建築家のアイデンティティは何ですか?このアイデンティティが重要ですか?設計をする時にそのアイデン ティティを表しますか?